「フクシマ」が国際的に通用する固有名詞になって久しい。いまだ被害の全貌すら明らかになっていない東日本大震災。中でも東京電力福島第一原子力発電所事故は将来に向け深刻の度合いを深めている。 虎の門病院は3月29日、記者会見で「原発作業員のための自己末梢血幹細胞の事前採取・凍結保存」の体制を整えたと発表した。前日には国立がん研究センターも会見で同様の発表をしている。福島の終息のため、原発作業員が文字通り身命を賭して励んでいる。難局への医療界からの迅速で的確な提案だった。 虎の門病院血液内科部長・谷口修一氏は4月15日、医学専門誌『ランセット』で「谷口プロジェクト」について発表。国内外のメディアが追随した。5月初旬にはインターネットを通じ、作業員や家族への分かりやすい呼び掛けも試みている。 横やりを入れた日本学術会議 ところが、4月25日、風向きを変える事態が生じる。日本の科学者の代表機関ら