おそらく日本で一番有名な戦場カメラマン、渡部陽一さんが仕事の進め方にスポットをあてて書いた本。エッセイとジャーナリストとの対談集の二部構成。すごく面白かった。僕はもともと開高健さんの一連の戦場ルポタージュの大ファンでその理由は本当に戦場にいるような気分にさせてくれたからなのだけどこの本も同じくらいに戦場を感じさせてくれた。 銃弾が飛び交うなかをカメラを持って走り回るような記述があるわけではない。「現場で前線に入れるとしても、環境が整っていなければ入らない。入るか入らないかという線引きに、意識を向けるようになってきましたね」(168頁)とあるように、現地や国内における人脈作りや営業の仕方、心構えの大切さについて多く割かれている。ひとことでいえば準備論。だが、それが読者を戦場に連れてくるかのような開高健さんのルポとはまったく異なるやり方で戦場の厳しさを際立てている。 また戦場カメラマンという職
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