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  • 犬と女房とその娘 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 昔、摂津国兵庫のあたりに、長七ト申す者がございました。 大坂から酒を取り寄せて、商いをしておりました。 長七は近頃、二親を立て続けに亡くしまして。 当人はト申しますト、四十を過ぎてもいまだ独り身でございますから。 突然、天涯孤独の身トなってしまった。 商売にせわしなく立ち回っているトは申しましても。 寂しいものはやはり寂しいものですので。 いれば慰みにでもなろうかト。 雌犬を一匹買い求めて、飼うことにいたしました。 矮狗(べいか)トいう小型の犬種でございまして。 そこらの野良犬とはわけが違う。 そもそもが愛玩用に掛け合わされたものでございますから。 姿かたち、しぐさなど、どこをとっても愛くるしくできている。 長七もすっかり心を奪われてしまいまして。 殊の外、この犬を可愛がります。 様々な芸を仕込んでみたり。 夜には懐に抱いて共に寝たり。 朝夕には己の器に餌を盛って

    犬と女房とその娘 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    meso2828
    meso2828 2016/08/12
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