「総合的な人間力がないと、一芸に秀でない」。僕がこのところ非常に気になっているテーマです。先日、京都大学でシンポジウムがあり、そこで「理論物理学者の湯川秀樹がそうだった」と気づいたのが、一つの発見でした。湯川秀樹は子供の頃から論語を読むといった教育を徹底して受けていました。 今回、お話を伺った陸上競技のコーチ・高野進さんは「ただ足が速いだけじゃダメだ。陸上は総合的な人間力の勝負だ」と、現役の選手を指導していると言います。 陸上競技や、湯川秀樹の理論物理学にしても、どちらかと言えば若い頃にその分野で突出した能力さえ持っていれば一流になれる。そのうえ、突出しないとトップにはなれないと思われている分野です。 しかし、こうした才能こそが大事だと思われている分野においてさえ、実は背後にある総合的な人間力がなければ、本当にオリジナルなことや、一流になることができないというのが、大事な視点だと感じました