きはらおとせではない。このはらなりせと読む。彼女はボーイズラブ作家である。男同士の恋愛を主軸にした物語を精力的に書いている。 いや、ここで引く前にちょっと聞いてほしい。まずボーイズラブの現状を知ってもらいたい。 諸兄がボーイズラブに抱くイメージはどんなものだろうか。例えば王子様、例えば美少年、例えば美形青年実業家。そんな見目麗しい男たちがキャッキャウフフと乳繰り合っているというイメージだろうか。それはあながち間違いではない。確かにそういった作品群が大半を占めるからだ。ただし、それだけかというと答えは否だ。 ボーイズラブの懐は思ったよりも深い。時代物あり、ファンタジーあり、サスペンスあり、不細工あり、さえない親父あり、バツイチもありだ。人気作家に限られるが、男同士であれば何を書いてもいい土壌がある。木原音瀬は間違いなくその「何を書いてもいい」という特権を与えられた作家だ。 彼女の作風をひとこ
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