『アンパンマン』の作者であるやなせたかしさんは、漫画家のみならず、舞台演出、詩の雑誌の編集や絵本づくり等、多岐にわたり活躍してきた。 そんなやなせさんの言葉を綴った『やなせたかし 明日をひらく言葉』から、心に響く一説をいくつか紹介する。 ※本稿は、『やなせたかし 明日をひらく言葉』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。 人生は椅子取りゲーム “人生は椅子取りゲーム。満員電車に乗り込み、 あきらめて途中下車せずに立ち続けていたら、あるとき目の前の席が空いた――” 「アンパンマンの作者は私です」と言うと、たいていの人はびっくりする。 まさか90歳過ぎた作家が描いているとは、想像できないのだろう。作者はせいぜい50歳ぐらいと思っている人が多いのではないか。 50歳は、実はアンパンマンを描き始めた年齢だ。それはやがて1973年に、『あんぱんまん』という絵本になる。だが、評判はさんざ