長崎県の対馬だけに生息し、絶滅が危惧(きぐ)されている国の天然記念物ツシマヤマネコが29日までに、対馬南部の下島で保護された。環境省対馬野生生物保護センター(同県対馬市)によると、ヤマネコは北部の上島に多く生息するが「下島での生息を直接確認できたのは数十年ぶり」という。 同センターによると、体重約1130グラムの雄で、今年春ごろに生まれたとみられる。28日午後2時半ごろ、対馬市厳原町の会社敷地内で社員が見つけ、市に連絡。同センターに搬送された際は衰弱した状態だったが、その後は食欲旺盛で回復に向かっている。親離れして縄張りを探すうちに、衰弱したらしい。 上島ではツシマヤマネコの目撃例などは珍しくないが、下島では平成19年に自動カメラが撮影した映像によって23年ぶりに姿が確認されただけで、その後は生息情報がなかったという。