98年6月14日フランスはトゥールーズ、我々は掛け値なしのワールドカップ初戦である対アルゼンチン戦を迎えた。直前の強化試合でチェコやユーゴスラビアに相応の戦いができていたものの、どこまで戦えるものなのか、不安は大きかった。 けれども、試合が始まるやその不安は一層された。井原正巳が固める最終ラインの1つ前で、名波浩が落ち着いた読みを見せアルゼンチンの仕掛けを何とか押える。さらに名波はボールを持つや丹念な技巧で溜めを作って時間を稼ぎ、幾度か中田英寿に前を向いてプレイさせる事にも貢献した。(まだ1次リーグ初戦ゆえフル回転とは言えないアルゼンチンではあったが)とにかく日本は井原と中田と名波を軸に、何とか真っ当な中盤戦に持ち込む事に成功したのだ。 続くクロアチア戦も、(クロアチアが引いてきた事もあったのだが)日本の中盤は名波を軸に存分に機能。名波のインタセプトを受けた中田のロングパスから中山雅史が抜