グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう―― そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。 1986年か1987年だったか、東京・池袋の東武デパート内にある五番街というレコードショップで、ナゴムレコードの新人テクノポップバンドのトークショーを見た。異色バンドの多かったケラ(現・ケラリーノ・サンドロヴィッチ)率いるナゴムの中でも“極北”と呼ばれたそのバンドの名は「人生」。顔中白塗りで左右の目のまわりを赤と青に塗り分けたリーダー・卓球の隣で、畳というメンバーがドラえ