以前のエントリーで西部テリトリーの州編入の仕組みを解説したことがある。ここで私は一つの重要なことを語らなかった。それは1820年以降の準州の問題の特殊性である。新たに編入される州が、「自由州」であるか「奴隷州」であるかというのが、連邦政治における重大問題であった。つまり、南北戦争までの様々なアメリカ政治の彩りは、この準州がどちらに転がるかをめぐる争いと連動している。ホイッグから共和党の形成も、ジョン・カルフーン、ダニエル・ウエブスターそしてヘンリー・クレイといった、白銀時代をつかさどった人々による華やかな連邦議会政治も、自由州と奴隷州のどちらが連邦政治における優勢を占めるかという競争に絡んだものであった。 壮大なのは、新たなテリトリーに奴隷制反対論者や奴隷制を守ろうとする人々が、政治的理由から移住し、住み着き、多数派工作を行い、それが連邦政治における抗争に連動する。つまり、地方の住民の性格