「早めに一度、お会いできればと願っています」 石川県かほく市の住職、平野喜之氏(54)の元に5月下旬、手紙が届いた。差出人は地下鉄サリン事件などで死刑が確定した、オウム真理教元幹部の井上嘉浩死刑囚(48)だった。 【写真】土谷正実死刑囚が「私は『変わり者』なのです」と書いた手紙。2014年5月、大石圭氏に送った=小玉重隆撮影 同じ高校を卒業した縁から支援を始めて11年で、面会をせかされたのは初めて。6月25日、大阪拘置所で会った井上死刑囚は「1人のカリスマを絶対的に正しいと信じることは間違いだった。自分も、絶対的に正しい人になりたいと思ってしまった」と事件を振り返った。制限時間の20分を迎えても「もう少し話したい」「大事なことだから」と刑務官を制止し、5分ほど話し続けたという。 井上死刑囚ら7人の元教団幹部の死刑が執行されたのは、その11日後だった。 カルト対策の専門家、立正大の西田公昭教