遅ればせながら、日本にも「第3の道」がやって来た。「第3の道」とは、90年代に欧米の中道左派指導者が好んだ政治スタイル。新自由主義的な経済思想の台頭と財政の緊縮化という大きな潮流と、中道左派の福祉国家的な政治理念の折り合いをつけるために打ち出された政治路線だ。 ほかの先進国と異なり、これまで日本で「第3の道」が脚光を浴びることはなかった。しかし菅直人が首相に就任し、「第3の道」が日本で新しい命を得るかもしれない。 6月11日に国会で行った所信表明演説で、菅は日本経済を再建するために「第3の道」を歩む必要性を強調。具体的には、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を同時に実現するための政策を実行する方針を示した。 菅は、小泉純一郎元首相以降の日本の歴代首相のなかでは最も雄弁に経済政策を語ったと言っていいだろう(少なくとも、鳩山由紀夫前首相流の曖昧で現実感の乏しいトリックはほとんどなかった)