年末年始、実家に帰って「ふるさとはいいな」と思った人も多いでしょう。しかし1週間もいると都会が恋しくなって田舎の不便さがうとましくなり、都会に戻ると「やっぱり都会はいいな」と思うのではないでしょうか。室生犀星の有名な詩は、こう歌います: ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの よしや うらぶれて異土の乞食となるとても 帰るところにあるまじや ひとり都のゆふぐれに ふるさとおもひ涙ぐむ そのこころもて 遠きみやこにかへらばや 遠きみやこにかへらばや これは望郷の歌のように思われていますが、最後まで読むと、実はその逆であることがわかります。ふるさとに帰りたいが、そこにはもう自分の居場所はないのだと断念し、都会に帰る歌なのです。私には、これが2010年の日本の心象風景を描いているように思えます。 正月から「派遣村」を訪れてホームレスの人々を激励した鳩山首相は、彼らに一時の安住の地