色彩の再発見と色彩論の再構築序説 -電子メディア時代の色彩におけるアウラ喪失とその復権- 総合政策研究科博士課程後期課程3年 山本龍彦 インターネットに象徴される現代の電子メディア時代の色彩の特徴は、その内部から光ることによって色彩が生まれる光色ということにある。本論は、この光色の浸透が現代人の色彩感覚を変容させていることを考察するとともに、それがベンヤミンのいうアウラを喪失させ、我々の自然観や世界観に影響していることについて論究し、失われてゆく自然な色彩感覚や世界観とアウラの復権を、水墨画の白黒表現に内包された「一即多・多即一」の華厳思想から導きだされる色彩論と、モノクロ写真のテクスチュアのもつ独自の存在感に求めてゆく。 換言すれば、本論は、水墨画の白黒表現の中にあらゆる色彩を見ることで、我々日本人が本来もっていた色彩感覚を再発見し、モノクロ写真に映しこまれた様々なテクスチュアのなかにそ