ゲームが人にどのような影響を与えるのか、というのはゲーム開発者のみならず、心理学研究者、子どもを持つ親、教育者などからいつの時代も注目を浴び続けているトピックのひとつではないでしょうか。「デジタルゲームが人の認知機能に与える影響:ゲーム研究最前線 Todai Baba Game Lab」というショートセッションでは、東京大学大学院学際情報学府の吉川真人氏が、近年における認知機能とゲームの関連研究を紹介しました。 セッションは、この手の問題でつきものと言ってもいい「ゲーム脳」の話題から始まりました。2002年に出版された書籍『ゲーム脳の恐怖』は当時大きな話題を呼びましたが、その後、実験内容に問題があると指摘されているのは周知のことでしょう。吉川氏は『ゲーム脳の恐怖』の実験について、そもそも脳波パターンの考察や解釈に疑問点が多かったこと、テレビゲームの比較対照群が認知負荷の高いクレペリン検査