米ニュージャージー州、デラウェア湾からほど近いストーンハーバーの砂浜にいるアメリカカブトガニ。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 毎年春になると、満月に導かれて何十万匹というカブトガニが産卵のため米大西洋沿いの砂浜に上陸する。お腹を空かせた鳥たちにとっては、ご馳走。製薬会社にとっては、医薬品の安全を確保するために必須の資源だ。 カブトガニの青白い血液から得られるライセート試薬(リムルス変形細胞溶解物)は、内毒素(ないどくそ、細菌内の細胞壁に含まれる毒素)を検出できる唯一の天然資源だ。微量の内毒素が、ワクチンや注射薬、人工膝や人工股関節等の滅菌医療機器に入り込んだだけで、人を死に至らしめることがある。 「世界中の製薬会社がカブトガニに頼っています。私たちがいかにこの原始的な生物に依存しているかを思うと、気が遠くなりそう
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