アーティスト・小泉明郎が投げかける、コロナと五輪が併存する世界への疑問国際的に活動する現代アーティスト・小泉明郎が、東京五輪の聖火リレーを題材にした映像作品《AntiDream #2 (聖火儀礼バージョン)》を突如としてYouTubeで公開した。「あなたは感染しています」といった様々な人工音声と、聖火リレーの映像が重なり合った本作で小泉が伝えようとしたものは何か? 聞き手・文=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長) ──最初に映像を拝見したとき、正直に言えばかなり衝撃的でした。いま私たちが生きている世界は新型コロナウイルスの感染が拡大するいっぽうで、聖火リレーは無観客などの条件下で行われています。また政府やIOCも「安心安全」な対策をとることで東京五輪は開催可能だと主張している。そのような状況で発表されたこの作品にはどのような制作背景があるのでしょうか。 私たちの眼差しの暴力性を体現させた