(1) 日本では、1991年にバブル経済が崩壊した。だが、少なくとも音楽の受容(商品、情報双方の)に関しては、その後も一種のバブル的な状況が続いた。その象徴的な存在ともいうべきタワーレコードの渋谷店が現在の場所に移動したのは95年3月のことである。店舗だけで9フロアもあり、その広大なスペースを埋めるために、古今東西のCDが有能なバイヤーによって、あらゆる手段を用いてかき集められた。日本のタワーレコードの特殊性は、何よりもまず、その品揃えの異常なまでのレンジの広さによっている。 とりわけ重要なことは、ニューヨークのタワーレコードに対するOther Music(タワーのすぐ傍にあり、タワーには置いていないアンダーグラウンドな商品を揃える)のような存在を、自らの内に抱え持ったことだった。かつてはマニアックなショップでしか見つけられなかったような、アバンギャルドでエクスペリメンタルなアイテムを取り