脳のリンパ腫は、医学用語では「中枢神経原発悪性リンパ腫」(Primary CNS Lymphoma:PCNSL)といいます。悪性リンパ腫が起こったとき(初発時といいます)に、それが脳や脊髄および眼にだけある状態(医学用語では限局するといいます)を指します。ここでは、中枢神経原発の悪性リンパ腫を「脳のリンパ腫」と呼んで話を進めます。 血液の中には、酸素を運ぶ赤血球、出血を止める際に重要な働きをする血小板、体を細菌などから守る白血球の、3種類の血球があります。さらに、白血球は大きく5種類に分かれます。その1つにリンパ球があります。リンパ球には、主に抗体を作るB細胞(Bリンパ球)と、Bリンパ球が抗体をつくるのを調整したり、またがん細胞やウイルス感染細胞を直接やっつける殺し屋(キラーリンパ球、キラー細胞)になったりするT細胞(Tリンパ球)があります。このリンパ球が“がん”になって腫瘤(しゅりゅう)