東京大学は8月1日、所属する教授が発表した論文5本のデータにねつ造と改ざんの研究不正があったと認定し記者会見を開きました。その翌日、私のもとに1通のメールが届きました。差出人は「Ordinary Researchers」。今回の不正を告発し、不正を明らかにするきっかけを作った匿名のグループからでした。そこには今の科学界に対して、「問題を黙殺あるいはわい小化する研究機関・研究者が得をし、問題に誠実に向き合う者が損をする現状がある」と記されていました。告発したグループが科学界に突きつけようとしたものはなんなのでしょうか。(科学文化部・稲垣雄也) 8月1日、記者会見に臨んだ東京大学の福田裕穂副学長は集まった多くの報道陣を前に「学術への信頼を揺るがす事態で重く受け止めなければいけないと考えている」と厳しい表情で述べました。 実験データにねつ造と改ざんの研究不正があったと認定を受けたのは、東京大学