タイムアップの瞬間、柴崎岳はプレー中と同じ背筋をぴんと伸ばした姿勢のまま、その場に立ち尽くした。 その目に涙はなかった。それは敗戦が決まった瞬間、頭の中にはなぜ負けたのかがはっきりと映し出されていたからだった。 攻撃の際に柴崎が前線に残ってしまい、コンビを組む椎名伸志が広範囲をカバーしなければならず、ボランチ・碓井鉄平を中心にした山梨学院大附のスピードあるアタックに対して、2人の距離が徐々に開いてしまった。そうなるとボールを奪っても、中盤にスペースが生まれてしまい、効果的なボールが柴崎まで入らない。 「なんとかクサビを打ちたかった」と椎名が語ったように、ホットラインを形成する彼らのコンビが微妙にずれたことで、青森山田は中盤の構成力を低下させてしまった。 「7割がロングボールで中盤を省略されると厳しい」 柴崎も唇をかんだ。しかし、この原因は自分にもあることを分かっているからこそ、彼