人体のさまざまな組織や細胞に成長する能力を持つヒトのES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)の塊を一つずつバラバラにして分散培養すると、高い確率で細胞死を引き起こす原因を理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームが解明した。細胞移植治療の安全性向上に役立つという。日本時間7日付の米科学誌セル・ステム・セルに論文を発表した。 チームは平成19年、ヒトES細胞やiPS細胞に限り、分散培養を行うと99%の確率で細胞死を起こすという問題を発見。「Rhoキナーゼ」という酵素の活性化により細胞死が起こることから、この酵素の働きを阻害する薬剤を使い、細胞死を抑えることに成功したが、詳しい原因はわかっていなかった。 チームは詳細な観察を行い、分散培養の開始直後から、細胞が表面を泡立たせる激しい細胞運動を起こし、破裂して死に至る特有の現象「死の舞」を突き止めた。細胞分散と同時