宇多田ヒカル、cero、tofubeatsをはじめとして、2018年の注目作を見渡してみると、日本のポップミュージックの中にある興味深い現象が見て取れる。ポリリズムの浸透だ。 2007年にリリースされたPerfumeによる同名のヒット曲を通じてこの言葉を記憶している人も多いだろう。ひとつの曲のなかに複数の拍子(たとえば3拍子と4拍子など)を重ねる技法を指す言葉で、Perfumeの曲にもポリリズムが登場するパートがある。とはいえ、それもアレンジの中心であるというよりは、ギミックに近かった。近年、とりわけ2018年に入ってからは、ポリリズムを中心においた楽曲が目立つようになっている。 その背景には、このところジャズやラテン音楽の分野において、リズムをめぐる実験が先鋭化していたことがある。先日RealSoundに掲載されたインタビューで冨田ラボが指摘しているように、2000年代を通じてレフトフィ