あれは1970年代なかば、僕が小学校低学年のころだと思うが、当時、恵比寿の我が家から毎週一回、母親に連れられて目黒駅前の耳鼻科に通っていた。ある日の帰り道、母が「そう言えば目黒の駅ビルにおもしろい店があるらしいから寄ってみようか」と言うので、当時は確か「サンメグロ」という名前だった駅ビルのエスカレータを上がった。 「な、なんだ、このお店は?」と僕は目を丸くしてしまった。当時ブームだった多種多様な「仕掛け貯金箱」をはじめ、ワンタッチでゆでタマゴを輪切りにできる「タマゴスライサー」などの便利なキッチン雑貨、空き瓶をライトスタンドに変身させる「ボトライト」などの便利かどうかがよくわからないアイディアグッズ、ラジオが聞ける腕時計「ウオッジオ」などのハイテク発明品、正体不明の「白いモワモワ」を育てる「マジックフラワー」などの用途不明の珍奇な玩具(?)、そして超能力訓練用「ESPカード」などの怪しいオ