オジマンディアス:パーシー・シェリー 古代の国エジプトから来た旅人はいう 胴体のない巨大な石の足が二本 砂漠の中に立っている その近くには 半ば砂にうずもれた首がころがり 顔をしかめ 唇をゆがめ 高慢に嘲笑している これを彫った彫師たちにはよく見えていたのだ それらの表情は命のない石に刻み込まれ 本人が滅びた後も生き続けているのだ 台座には記されている 「我が名はオジマンディアス 王の中の王 全能の神よ我が業をみよ そして絶望せよ」 ほかには何も残っていない この巨大な遺跡のまわりには 果てしない砂漠が広がっているだけだ 1817年の作。オジマンディアスとは古代エジプトのファラオ・ラムセス大王の別名である。シェリーはこの遺跡を見たことはなかったようだが、エジプト文明のたどった運命には関心を抱いていたようだ。 詩は生前の王の傲慢な表情が、彫師たちによって正確にとらえられ、王が滅びた後でも、石