アッシェンプッテル ASCHENPUTTEL ―灰かぶり姫のものがたり― グリム兄弟 Gebruder Grimm 大久保ゆう訳 だんなさんがお金もちの、ある女のひとがいました。その女のひとは、びょうきでねこんでいました。もうながくはない、と女のひとはおもって、じぶんのうんだ、たったひとりのむすめを、まくらもとによんで、こういいました。 「いつもおもいやりのある子でいるんですよ。わたしはおそらの上から、あなたのことを、ずっと見まもっていますからね。」 まもなく、女のひとはめをとじて、いきをひきとりました。にわに、おはかがつくられました。このおさない少女は、くる日もくる日もおはかへ行き、なみだをながしました。そして、お母さんのいうとおりに、いつでも、だれにでもしんせつでいました。 やがてゆきがふり、あたりいちめんまっ白になって、おはかも銀いろにおけしょうをしました。でも、もうすぐ、はるがやっ