昨日の私(安岡孝一)の日記を読んだ人はウスウス感づいていると思うが、『大正新脩大蔵経』(1923年~1934年、大正一切経刊行会、全88巻)の著作権は、本当に切れているのか。もちろん、収録されている各経典の原著作権は、とっくの昔に切れていると考えられるが、二次的著作物としての『大正新脩大蔵経』の著作権は、現時点では必ずしも切れていない。わかりやすい例として、『大正新脩大蔵経』第13巻(大集部)所収の「般舟三昧經三卷」を見てみよう。 「般舟三昧經三卷」の原典は、いわゆる白文であり、返り点はおろか句読点すらついていない。言い方は悪いが、単なる漢字の羅列である。三~七世紀頃に成立したものらしいので、原著作権はとっくの昔に切れている。一方、『大正新脩大蔵経』所収の「般舟三昧經三卷」には、句点や返り点や註が付されており、原典とはかなり様相の異なる二次的著作物となっている。この「般舟三昧經三卷」に点を