日本経済は少子高齢化により労働力が減少する局面に突入する。特に2007年は、戦後生まれのベビーブーム世代(団塊世代)の第一陣が60歳という定年退職の年齢に到達する節目の年となる(第2-1-1図)。これは経済成長の要因の一つである労働力が減少することを意味する。高齢化の進展は労働力を減少させるとともに、高齢者の増加による貯蓄率の低下を通じて投資水準が低下することも懸念される1。資本の蓄積が困難となれば経済成長の鈍化は避けられない。 労働や資本の量的拡大が困難であれば、日本経済全体の成長率を維持するためには、労働や資本の質的向上を目指し、国民一人当たりの成長率を高めていく必要がある。すなわち、労働投入当たりの生産の効率化、労働生産性を向上させることが重要となる。 1 労働生産性の推移と変動要因 ● 労働生産性の成長率に寄与する資本深化と全要素生産性 我が国のマクロ的な労働生産性の推移をOECD