この本を書いたのはSF作家の新井素子さん。僕が人生で、初めて大好きになった作家さんです。 新井さんの作品に最初に出会ったのは、本屋さんの店頭でも図書館でもなく、NHKのラジオドラマでした。当時、田舎の中学生だった僕がハマっていたのが、ラジオの深夜放送。親にバレないように部屋の灯りを消し、布団の中に持ち込んだちっぽけなラジオに耳を澄ましていると、ある日流れてきたのが、『グリーン・レクイエム』だったのです。 まっさきに、ヒロインの明日香を演じる荻野目慶子さんの、鈴の音のような美しい声音と、ゾクゾクするほど感情がうねる迫真の演技に心を奪われました。物語の鍵を握る、ショパンのノクターンの美しい旋律にも。やがて、めまぐるしく展開する奇想天外なストーリーそのものに、すっかり虜になりました。 こんなに面白い物語を生み出した新井素子って、どんな作家なんだろう? そんな気持ちがどんどん膨らんでいくうち、通っ
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