朝日新聞グローブ (GLOBE)｜Breakthrough -- 突破する力 山中伸弥科学の世界で、教科書を書き換えるような発見はめったにない。では、ここ数年間で、そのレベルの業績をあげた日本人は誰か。 おそらく、まず名前があがるのは京都大学教授・山中伸弥だろう。 皮膚の細胞に4種類の遺伝子を入れることで、さまざまな細胞に「変身」する力を秘めた新型の万能細胞をつくることに成功した。 万能細胞からつくった臓器や組織を移植できれば、難病の治療に役立つ可能性がある。ただ、かつての万能細胞は受精卵を壊さないとつくることができなかったため、常に倫理的な問題がつきまとっていた。体細胞である皮膚からつくった新型の万能細胞なら、そこをクリアできる。 山中はこれをiPS細胞(人工多能性幹細胞)と名付け、06年、世界に先駆けて発表した。 マウスで成功した翌年の11月、山中が「人間でもiPS細胞をつくることに成功した」と発表すると、「ノーベル賞は確実」とニューヨークタイムズ紙やCNN、BBCなど
