ここは築40年の3階建ての団地。建築家・青木律典さんは、分譲として売り出された公団の一室をリノベーションし、自宅としている。 「まわりが程よくのどかな環境で、バルコニーのある南側には保育園の園庭があり視界が開けています。建物も、コンクリートの壁で間仕切りされた壁式構造で強度がある。低コストで購入できて、しかも自由に手がつけられるので理想的な物件でした」。 57平米の空間をいかに広く感じさせるか。最初に考えたのは視覚効果だった。既に3DKから2LDKへリフォームされた物件だったが、廊下や収納を取り壊し、全面的に見直すことに。 「まず玄関が狭く感じられました。ドアを開けた瞬間に視界がまっすぐ伸びていけば、空間に奥行きと広がりが感じられます。そこで押し入れなどを取り、中央に土間を通しました」。 玄関をあけると奥まで伸びたモルタルの土間とグレーの壁。公団のイメージとはかけ離れた空間が出迎えてくれた