「楡家の人びと」などの純文学から、ユーモアあふれるエッセーの「どくとるマンボウ」シリーズまで、幅広いジャンルで80歳を過ぎても旺盛な執筆活動を続けた作家の北杜夫さん。 24日、84歳で亡くなりました。 北杜夫さんは、実は文学界きっての昆虫好きとしても知られています。 生前の北杜夫さんに取材した、科学文化部随一の昆虫好きの斎藤基樹記者が、知られざる北杜夫さんの一面をお伝えします。 北杜夫さんとの出会い 私(斎藤)は、3年前、栃木県日光市で開かれた、北杜夫さんが集めた昆虫を一堂に集めた初の「どくとるマンボウ昆虫展」を取材した際、北さんにインタビューを申し込みました。 北さんは、このころ体調を崩してテレビの取材はほとんど受けていませんでしたが、私自身、子どものころから昆虫が大好きで、北さんが集めた虫の標本が残されていることを知って、「昆虫への思いを聞かせて欲しい」と手紙を出したところ、快