スノウマンは一人で山奥に住んでいる。小さな畑を持ち、野菜を育てている。 彼の所に訪れる者は萬(よろづ)屋のゴードンしかいない。 ゴードンは月に一回スノウマンにパンと町の四方山話を届ける。 スノウマンはゴードンから聞く町の話が好きだった。 町ではアン・メアリが結婚したとか、その相手が隣町の若者でパン屋の息子は失恋したとか。洋服屋のアンダーソンの猫が子猫を産んで、学校の飼育舎で子どもたちが世話をしているとか。他愛のない話ばかりであったが、スノウマンは愉しくそれを聞いていた。 ある日ゴードンは言った。 町ではみんな元気にやっているよ。大きなお祭りが始まるんだ。毎晩花火が上がるんだよ。 王様の軍隊が飛行機をたくさん飛ばしてフライトショーもやるんだ。 子どもたちは飛行機に向かって風船を飛ばすんだよ。 お祭りがあんまり大きいので学校もしばらく休みになるんだ、とゴードンは言った。 スノウマンは子どもたち