台風19号による浸水で7人が亡くなった福島県いわき市。水が自宅に押し寄せて溺死した関根治さん(86)は、妻百合子さん(86)の目の前で泥水に沈んでいった。百合子さんも首の高さまで水につかったといい、「現実とは思えない」と、突然訪れた恐怖と悲しみに言葉を失った。 【写真特集】台風19号のまがまがしい爪痕 新幹線車両も水につかった 関根さん夫妻は、決壊した夏井川から約300メートルの距離にある平屋建て住宅で2人暮らしをしていた。12日夜は寝室で布団を並べて寝たが、13日未明に百合子さんがトイレに行くために起きると、布団の下がぐっしょりとぬれているのに気が付いた。浸水が始まっていた。 治さんは約5年前から腰の病気で足が不自由になり、この1年は何かにつかまって立つのがやっと。治さんは窓際まで移動し、窓から外に叫んで近所に助けを求めた。百合子さんが自分の部屋で、貴重品を部屋の高い所に移していると、水