最近、「同一労働・同一賃金」の議論が熱を帯びています。私はこれまでも「同一労働・同一賃金」の実現は困難であることを述べています。非正社員、正社員の環境を同一のものとして論じることはできないからです。 ●同一賃金で起こりうること 民間給与実態統計調査(平成26年度)によれば、正社員と非正規の年収格差は約300万円と非常に大きくなっています。正社員と非正規の賃金格差是正を目的に「同一労働・同一賃金」の議論がはじまりました。同じ仕事内容であれば同じ賃金を支払うべきという考えがベースにありますが仕事の線引きは難しい問題です。 また、正社員と非正規は賃金支払い基準が異なります。正社員を除く、派遣、アルバイトなどは、職務(仕事内容)に対して賃金が支払われています。正社員は職務以外の部分に対価がついているので、「同一労働・同一賃金」を実現するには、正社員の職務以外の部分(役職、年功、各種手当て等)を廃止