日本人は個人金融資産の55%を預貯金で保有しています。これは他の先進国と比較して突出しています。本来、預貯金は数ある資産運用手段の一つに過ぎませんが、日本人の多数は絶大な信頼感を預貯金に抱いているようです。 こうした「預貯金神話」がなぜ日本人の意識に芽生えたのでしょうか。 ・・・・・・・・・ 結論を先にいうと、「預貯金神話」とは、国が国策で推進した貯蓄推進運動が日本人の意識に浸透し、それが現在まで語り継がれているいうことなんだと私は思っています。 具体的には、終戦翌月の昭和20年9月11日に閣議決定された『戦後ニ於ケル国民貯蓄増強方針ニ関スル件』の発表から預貯金神話が始まりました。その中の『戦後ニ於ケル国民貯蓄増強方策』の六項を下に記します。非常に読みにくいので現代語訳に直しました。 勤労と節約こそ国の再建の根底であると思い、戦争中習得した質素剛健の生活を持続するのはもちろん、物資