今夜、ごんちゃんが亡くなった。16歳と3か月だった。 換羽が始まって、調子が悪そうな感じはあったものの、昼間はいつものように私とおしゃべりしていた。夕方外出して帰ってくると、落鳥していた。 ごんちゃんは以前住んでいた近所のペットショップの看板鳥だった。いつも店頭に籠が置かれて、その中にごんちゃんはいた。値段はたしか、9万円くらいだったと思う。九官鳥って高いんだな、と思った。 ある日、私が店の中で小鳥を見ていると、背後で、九官鳥に話しかけている男がいた。その男は「おはよう。」「ごんちゃん」と何度も呼びかけていたが、九官鳥の返事はなかった。いい加減諦めればいいのに、と思って振り返ると、誰もいなかった。男が九官鳥に呼びかけていたのではなく、九官鳥が私に呼びかけていたのだ。 それからしばらくたって、そのペットショップが閉店することになった。看板鳥の九官鳥の値段は、閉店が近づくにつれて下がっていって