『二郎は鮨の夢を見る』タイムアウトレビュー まるで夢の中にいるかのようだった。『すきやばし次郎』の店主、小野二郎を追った、デヴィッド・ゲルブによる瞑想的で美しいドキュメンタリー映画は、食通はもちろん、映画好きも垂涎ものの作品だ。この85歳の鮨職人を、美食家セレブのアンソニー・ボーディンは称賛。そして、こじんまりとした小野の店は、ミシュランガイドで最高点を獲得した。スクリーンに映し出される見事な食材のカットは、作品の見所のひとつとなっている。二郎が切り出す切り身のクローズアップは、半透明で美しく、まるで細胞がまだ生きているかのよう。ただ座って食材を眺めながら涎をたらすだけでも、十分と思える作品だ。 だが、ゲルブはもちろんそれだけでは満足しない。この作品は、二郎が極めたシンプルかつミニマムな手法を映画化したかのようで、82分の上映時間に無駄なくまとめられている。フィリップ・グラスやマックス・