先の読めない展開は、電子書籍の一覧性のなさにぴったり、かも 『黒い家』ほか2008年9月16日[評者]落合早苗 私が電子書籍というものの存在を知ったのは1999年のことで、電子書籍コンソーシアムの実証実験のニュースからだった。衛星回線を利用したこの実験では一般からモニターを募り、その際に使われた「本が空から降ってくる」というコピーが印象に残った。また私が当時在籍していた出版社では、絶版になった書籍をデジタル化して有料で配信する仕組みを立ち上げようとしていた。アマゾンの日本上陸が2000年、出版界でもネットとどう融合していくかという道が真剣に議論されはじめたころだった。 しかし私自身も、多くの本好きが電子書籍に対して持つ印象と同様にPCで本を読むというのがピンと来なかった。自宅の通信環境もブロードバンドではなかったし、試すこともなく電子書籍の存在もすぐに忘れてしまった。 はじめてデジタルデバ