例年、宮城県石巻市の鮎川港を拠点にしていたミンククジラの沿岸調査捕鯨が、東日本大震災の影響で今春は北海道の釧路港に場所を移して始まる。捕獲と解体に携わる47人のうち、約6割の28人は古里の復興を期して働く石巻の関係者だ。震災で職を失い、捕鯨船乗組員として第2の人生をスタートさせる被災者もいる。 沿岸調査捕鯨は、捕鯨業者団体が水産庁の許可を受けて毎年実施しており、春は鮎川港、秋は釧路港が拠点。今春は4月11日から始まる予定だったが、鮎川港が大きな被害を受け、捕鯨船4隻も打ち上げられて使えなくなった。そこで調査海域を釧路に移すことになり、和歌山と千葉から3隻が用意された。 そのうちの1隻「正和丸」(15・2トン)に乗り込む男性(41)は鮎川の元鮮魚店主。捕鯨は初めての仕事だ。被災で収入が断たれたところ、地元の「鮎川捕鯨」社員で今回の現場責任者を務める奧海良悦さん(70)から「うちで働いて、生活