いりゃあせ(いらっしゃいませ)、名古屋へ。多くの転入者を迎える春。独特のナゴヤ文化を知ることは「名古屋人」になるための必須科目でもある。達人たちに講師役をお願いして、教えてもらおう。 ◇ 午前7時20分。名古屋・丸の内の喫茶店「サンパウロ」。シャッターが開くと、続々とスーツ姿の客が入っていく。注文もしないのに、次から次へと「モーニング」が運ばれる。トーストだけ、ゆで卵付き……。それぞれの好みに合わせて出てくる。 「常連なので、好みはみんな覚えてます。皆さん出勤前に一服しに来る」と経営者の舟橋左門(さもん)さん(65)。愛知県喫茶飲食生活衛生同業組合の理事長でもある。 300〜400円のコーヒー代だけで、サービスで付く喫茶店のモーニングは「ヨーグルトや茶わん蒸しも付く」といった過剰ぶりが注目されるが、むしろ深く根付いた「生活習慣の一つ」だ。家計調査で、喫茶代の1世帯あたりの年