SQLは集合論をその基礎の一つとする言語ですが、これまで、SQLが集合演算の整備を怠ってきたことも手伝って、その機能は十分に活用されてきませんでした。しかし近年、ようやくSQLにおいても基本的な集合演算の機能が出揃い、本格的な応用が可能になってきました。本稿では、SQLの集合演算を利用したSQLを紹介し、その背景にある考え方を解説します。 はじめに SQLが集合論に立脚する言語であるということは、この連載で一貫して強調してきたテーマの一つです。その特性のゆえに、SQLは「集合指向言語」と呼ばれていますし、実際、集合的な観点から見たときに初めて、その強力さが理解できると私は考えています。しかし現実には、SQLのこの側面は長らく無視されてきました。 その背景には、SQLにも責任の一端があります。というのも、SQLはちょっと前まで、高校で習う程度の基本的な集合演算子すら持っていなかったからです。