今回ご紹介するのは、水野学、中川淳、鈴木啓太、米津雄介著『デザインの誤解』(祥伝社)です。 これはデザイン本ではなく、マーケティングの教科書だと思います。書名は「ものづくりの誤解」でも良かったのでは? そう思えてしまうほど、この国の商売への示唆にあふれています。 メーカーが悩むのはヒット不足よりも「定番の欠如」問題 まずは、ちょっと思い浮かべてみてください。 テレビでも洗濯機でも車でもボールペンでもお菓子でもカバンでも、どんな商品カテゴリでも構いません。そのカテゴリーに、みなさんが「定番」と呼べるものはありますか? …即答できた方は少ないのではないでしょうか? そしてそれはそのまま、日本の多くのメーカーが抱える悩みにつながっていきます。本書にこんな声が載せられています。 とある家電メーカーの方から、こんな話をうかがったこともあります。 「毎年、微修正を加えて新商品を出すんですが、この市場は