北京で27日、丹羽宇一郎駐中国大使が乗った公用車が襲われ、車につけた日本国旗が強奪された事件が起きました。尖閣諸島をめぐる日中緊張を反映した事件ですが、日本側の反応がいささかぬるいように感じます。 日本政府は厳重な抗議を行いました。第三国であるアメリカ国務省でさえ、ただちに重大な懸念を表明したのに、その「厳重さ」には、なにやら微温的な感じがします。一方、28日の朝刊では、朝日新聞が1面サブトップ、日本経済新聞に至っては1面ではありますが、真ん中の3段見出し程度の扱いです。 私は、この事件に怒り狂うべきだといっているのではありません。大使の車への襲撃が外交上極めて重大な主権に対する侵害であることを、外交慣例に照らした実物大のものとしてとらえるべきだと考えます。それに比べると、政府の態度や朝日、日経の反応は、事態を矮小化するものです。日中間の緊張は今後も、その速度はわかりませんが、エスカレート