学生の頃、ガテン系のアルバイトをしていた事がある。日が暮れて仕事が終わると、プレハブ小屋の待機室で毎晩の様に宴が開かれていた。そこでは、ビールとか焼酎とか日本酒とか、どんな飲み物も全部湯のみ茶碗で飲んでいた。僕も湯呑み茶碗にビールを注がれ、何とも言えない違和感を覚えつつ酔っぱらったものだった。 グラスって大事だよな、とその時は思ったが本当にそうだろうか?固定観念にとらわれているだけなんじゃないか? 本来は飲食の目的で作られていない器で飲み食いしてみたらどうだろう? という訳で、実験器具を調達しに東急ハンズへ行った。 (text by 住正徳) 東急ハンズには「実験器具」というコーナーがあって、そこにはビーカー、フラスコ、試験管……、と理科室で見たものたちがずらりと並んでいる。 「うおー、凄え」 思わず感嘆の言葉が口をつく。 あれも欲しい、これも欲しい。あっという間に買物カゴが実験器具でうま