“嗚咽が積もった雪へと滲みた。” 小説の書き出しには記憶に残るものがいくつもある。その一文で、作品の進路や空気をピシリと見せる強い言葉。この、凄みをまとう書き出しから始まる『颶風の王』(ぐふうのおう)で、小説家の河﨑秋子さんは鮮烈にデビューしました。 馬と運命を共にした、明治から平成にかけての6世代の歩みを描いた本作。北海道出身の作家であり、代表作『氷点』を持つ三浦綾子にちなんだ「三浦綾子文学賞」を得て注目され、角川書店から刊行されると各メディアから賞賛を浴びました。読者の肉体に訴えかけてくるような力強い筆致、骨の太いストーリー、文章から漂う土の香り…後にJRA賞馬事文化賞も得るほどでしたが、ここで注目されたのは作品だけではありません。 河﨑秋子さんの職業は「羊飼い」。大学の経済学部を卒業後、ニュージーランドで緬羊(=めんよう。家畜、特に毛用としての羊を指す)の飼育技術を学んで帰国。現在も
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