今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月18日号掲載〕 人気お笑い芸人の河本準一は生まれる国を間違えたのだろうか。河本は5月、自分は高い収入がありながら母親が生活保護を受給していたことを日本じゅうの人々の前で謝罪した。 フランスなら河本は模範市民と見なされたはずだ。勲章の1つももらえたかもしれない。フランスの基準からすれば、河本親子は当然のことをした。母親は失業して国に助けを求めた。息子は一生懸命働いて高い所得税を払っているのだから、政府の歳入の足しにさえなっている。息子がいくら成功していても、母親はできる限り政府の寛大さに甘えるべきだ──フランス人ならそう考える。 フランス人は困ったときに国からお金をもらうことを恥と思わない。日本人より高い税金を払っているから、経済的に困っている人間の面倒を見てもらうだけの金は政府に「支払い済み」だと考える。生活に困っている親を子供が経済的に援助する