突然ですが、筆者は「日本は何が何でもTPPを締結せよ」、と、ここで主張する気はありません。ですが、韓国研究者の一人として、TPP参加が国益に叶わないとする例証に、一足先に韓国が米国と結んだFTA(自由貿易協定)を挙げるのはどうか、と思っています。 韓国国内では締結の前から現在に至るまで、FTAによる影響を危惧する声が絶えません。しかし筆者が見る限り、その危惧はFTAの条項をきちんと読めば根拠のないものであったり、そもそもFTA締結以前から別の協定が結ばれているものだったりすることが非常に多いのです。 条項を熟読するのは、専門家以外にはなかなか荷が重いものですし、本連載も必ずしも読みやすいものとは言えないかもしれません。しかし、国際間のものに限らず、約束事について、条文をきっちり読まずに論じるのはどう考えても間違っています。 「結論だけ示してくれ」という方に配慮して、細かい部分は囲みや脚注に