裁判所の命令を無視―。暴力団が、ではない。小さいとはいえ地方自治体である町が、である。この「町」とは琵琶湖の東南に位置する滋賀県豊郷町。人口約7千人の小さな町である。その町の豊郷小学校が事件の舞台となった。 裁判所が出した解体工事差し止めの仮処分命令に従わず、町長である大野和三郎氏が業者に命じて同小学校の窓を取り壊し始めたのだ。町全体を揺るがす大騒動に発展した。 (取材・写真/庄村有治) ★窓ガラスを次々と破壊★ 昨年12月20日のこの日、豊郷小は二学期の終業式があったばかりだった。児童が帰宅した直後、代わって現れたのは解体工事を請け負う作業員たちと引越し業者。10人以上の作業員が教職員の制止を振り切るように2階へ上がり、バールで窓ガラスを破壊し窓枠を外した。実質的な解体工事の開始である。 そのため、同小の保存・改修を訴える住民らともみ合う騒動に発展してしまった。 豊郷小学校の改築問題