インスパイア取締役ファウンダー 成毛 眞 (なるけ・まこと) 1955年、北海道生まれ。中央大商学部卒。マイクロソフト社長を経て投資コンサルティング会社インスパイアを創業。書評家としても活躍。近著『大人げない大人になれ!』。 何につけ理由を求めてしまう机上主義の人はいるが、読者に意味を考えさせるための小説は最低だ。その点、『水滸伝』(1)はすばらしい。梁山泊に集う108人は義賊などではなく、乱暴狼藉を働いたため世間から追放された単なる人殺しや泥棒である。美学を求めるわけでも、暴力の賛美でも、悪をつくすわけでもない。ある意味で「せこい悪」が登場するピカレスクロマンは重要だ。社会には自分とは違う人間がいることを知るためには小説は重要だと思うからだ。 娯楽小説は軽く見られがちだが、純文学を押しのけて100年後の古典になりそうなのが『私が殺した少女』(3)と『遠い海から来たCOO』(5)だ。前者は
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